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セックスに快楽だけを追い求めたインド人の性の集大成


快楽のためだけのセックスをもとめたインド人たち

カーマスートラはわが国では、あまり知られた本とは言えませんが、ヨーロッパではかなり有名な書。4世紀のインドでヴァーツヤーヤナという人が書いたものですが、現代においてもその真髄は有効です。性を快楽追求のための行為として、とことん方法論にこだわって描かれており、愛とは何かを語った後に、前戯の仕方、体位の紹介、フェラチオやクンニリングスなどのオーラルセックスの方法、スパンキング(相手をたたくこと)やアナルセックス、3Pなどなどの方法論、そして、人妻の誘惑方法などにも言及しています。

セックスについての方法書は、ずっと古くに中国で成立していますが、中国人の描いた性の指南に比べると、カーマスートラは「快楽の追求」だけにこだわった書と言えるでしょう。とにかく気持ちよくなるにはどうすればいいか、にとことんこだわり、インド人の開放的で性に貪欲な姿勢が反映されています。中国の書は思想的であり、やや難しい概念が含まれていますが、カーマスートラは誰が読んでも気持ちいいだけ。とても簡単なために、現代でも愛読者が多いのでしょう。

セックス=生殖という考え方を一切排除した!?

古代中国人の考えたセックスは、男女のエネルギー交換です。無限のエネルギーを持つ女性が、エクスタシーの瞬間に発散する放射を受け取ると、男性は知性も精力もアップすると考え、そのために、いかにして女性を喜ばせるか、という観点からさまざまな指南書が書かれました。そして、セックスを繰り返し行うことで、女性の体内にたまったものが、子供として体外に出てくるとされていたのです。

古代インド人は、これをもっと単純に考えました。セックスと妊娠とを切り離し、快楽だけを取り出したのです。どうしたら気持ちがよくなるか、どうしたらエクスタシーを感じられるか、という点にフォーカスをしぼり、それ以外のことは排除したのです。気持ちよければ何をしてもいい、口で気持ちよくするにはどうしたらいいか、アナルで気持ちよくするにはどうしたらいいか、複数プレイを楽しくするにはどうしたらいいか、と真面目に考えまとめたのです。

インド人のセックスに影響を与えたのは、パキスタン人だった!?

インドの人々は、中国の性に対する考え方の影響を受けつつ、パキスタンのタントラ教の影響を強く受けて快楽追求の思想を固めていきました。紀元前40世紀ころのハラッパー(今のパキスタン)では、女性器をあがめ敬う思想が生まれました。セックスによって人はエネルギーを得、その源は女性のヴァギナにあると考えたのです。セックスあってこその人類だ、と考えたために、男性神シバは女性神ハクティに挿入しています。セックスの快楽こそが「神」であると考えました。

インドでは、こうしたタントラ教の影響を受け、性の快楽に溺れることが神に近づく道だという思想が広まったのです。オーガズムを得ることが精神を高みに向かわせ、女性を悦楽の世界に溺れさせることが神への階段を登ることだと考えました。そのため、快楽追求の方法論であるカーマスートラが成立し、千年以上たった今も愛読されているのです。

カーマスートラは古代インド人の手による快楽追求の聖書です。現代においても役立つ書であり、特にセックスの頻度が少ない日本人は、手にすべき書でしょう。

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